JR東海のエクスプレス予約は、東海道・山陽新幹線の切符をネットからお得に予約・購入できるサービス。利用するためには年会費1,100円が必要になるものの、たとえば東京ー大阪間なら1往復すれば十分元が取れるだけの会員価格でチケットを予約・購入することができる。
またエクスプレス予約は、乗車する列車を柔軟に変更できるなどビジネスとの相性も良い。
エクスプレスカードと他社のプラスEXとの違い
JR東海のエクスプレス予約は、以前まではJR東海のエクスプレスカードやJ-WESTカードなど、JR系の特定クレジットカードを所持していることが利用の前提条件となっていた。
そのため、エクスプレス予約を使うためにはJR東海エクスプレスカード等を持っていなければ使えない制限されたサービスだったんだけど、近年になってようやくサービスが他のクレジットカード利用者にも開放された。
現在、エクスプレス予約が使えるカードは以下のとおり。
エクスプレス予約が使えるカード | |
---|---|
JR東海orJR西日本系のカード | プラスEXが利用可能なカード |
JR東海エクスプレス・カード J-WESTカード |
JCB(上3桁354で始まるもの) 三井住友VISA(VJA系も一部対応) 三菱UFJニコス(個人向け) トヨタファイナンス(個人向け) アメリカン・エキスプレス 三井住友トラストクラブ ※それぞれ一部非対象カードあり。 |
メリット: ポイントを貯めてグリーン車に変更するグリーンプログラムが利用可能 |
メリット: 既に持っているクレジットカードで利用できる(プラスEX対象カードの場合) |
違いは上の表に記載したように、エクスプレスカードやJ-WESTカードならエクスプレス予約を利用するごとに専用のポイントが貯まる。貯まったポイントは普通車からグリーン車へのアップグレードとして使用することができる。
1年に何度も中・長距離で新幹線を利用するなら、グリーンプログラムの有無でカードを検討してみるのもよさそう。そのために1枚クレジットカードが増えるのも手間といえば手間だけど。
現在所持するクレジットカードでエクスプレス予約が使えるかどうかは、このページで確認可能。
JR東海エクスプレス・カードとJ-WESTカードの違い
JR東海のエクスプレスカードと、JR西日本のJ-WESTカードはいずれもエクスプレス予約が可能で、グリーンプログラムの対象でもある。では単にJRの管轄が違うだけかというと、そうでもない。
首都圏に住んでいるとJ-WESTカードは遠方のサービスという印象を受けてしまうが、J-WESTカードなら関西圏の特急等を予約できるe5489が利用可能で、しかも割引価格の適用もある。さらに、九州新幹線だけでなく北陸新幹線のネット予約にも対応しているところが長所。
首都圏から関西方面に新幹線で移動してそこから特急を使ったり、あるいは空路で関西国際空港に到着した後の陸路を特急に頼る可能性の高い人、首都圏から北陸新幹線も利用する可能性の高い人は、JR東海のエクスプレスカードではなくJ-WESTカードを選択しておくほうが、より便利に使えるはず。
というか関西圏での移動が増えたので、自分がまさにJ-WESTのカード欲しくなってるところ。
(追記:後日J-WESTカードも作った)
エクスプレス予約とスマートEXの違い
東海道山陽新幹線の切符をネットから予約できるサービスには、エクスプレス予約の他にスマートEXというサービスもある。駅などには大抵エクスプレス予約よりも大きくスマートEXのポスターが貼ってあるので、こちらの名称なら知ってるという人も多そう。
エクスプレス予約は1,100円の年会費がかかり、門戸が開放されたとはいえ特定のクレジットカードにプラスする形での利用となるが、スマートEXにはそういった制限が(ほぼ)無い。そのかわりエクスプレス予約のように料金が大幅に割引になることもなくて(ただし後で触れる早特系の割引は使える)、どこまで買っても片道200円の割引のみ。
「たまーに新幹線をネットから予約できたら便利かな」、それくらいの用途ならスマートEXでもいける。スマートフォン・パソコンとクレジットカードさえあればどこでも登録可能だし、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードを使って乗車できるので、スマートEXのほうが気軽といえば気軽。
ただ、中距離・遠距離に1年で1回でも往復するのなら、年会費を払ってでもエクスプレス予約を使えるほうがお得なので、そうなったら早めの切り替えを検討するべき。もったいないから。
エクスプレス予約のメリット
エクスプレス予約のメリットは、好きなときに東海道・山陽新幹線の切符がネットから購入できること、列車の変更もパソコンやスマホから自由にできること。そして安価な会員価格が適用されること。
エクスプレス予約の会員価格
たとえば「今日、新幹線を使う用事ができた!」と慌てて当日に切符を購入するケースでも、以下のように割引された会員価格が適用される。(東京から乗車する場合の例 2020年2月現在)
目的地 | 通常の普通車指定席(大人) | エクスプレス予約利用時 |
---|---|---|
名古屋 | 11,300円 | 10,310円 |
京都 | 14,150円 | 13,070円 |
新大阪 | 14,720円 | 13,620円 |
広島 | 19,440円 | 17,990円 |
博多 | 23,390円 | 21,720円 |
新大阪までの片道で1,100円の割引になるので、年会費1,100円が実質無料に。往復すればすぐ収支がプラスに。
早特商品の利用ができる
これはエクスプレス予約だけではなく、誰でも登録可能なスマートEXでも利用できるサービスだけど、早めに東海道山陽新幹線の予約を取ることで料金が大幅に割り引かれる「早特商品」が利用できるのも大きなメリット。
早特となる主な商品には以下のようなものがある。
EX早特21
車日の21日前までの予約で「のぞみ」普通車指定席が割引。ただし、どの時間帯も対象なわけではなく、乗車駅を朝6時台と昼11~15時台に出発する直通の「のぞみ」普通車指定席が対象となる。
大型連休や年末年始など、この割引が設定されていない時期もある。また乗車駅と降車駅もすべての新幹線の駅が対象となっているわけではなく、東京・品川・新横浜から博多まで通しで利用することもできない。
とはいえ、割引額はかなり大きいので、1ヶ月以上前から予定が決まっているときには重宝。もし乗れなくなっても、差額を支払うことで予約変更が可能。
目的地 | 通常の普通車指定席(大人) | EX早特21 |
---|---|---|
名古屋 | 11,300円 | 8,960円 |
京都 | 14,150円 | 11,000円 |
新大阪 | 14,720円 | 11,200円 |
広島 | 19,440円 | 14,260円 |
結構割り引かれるのでお得だけど、各列車に利用可能な席数が設定されているため、この券種は予約開始の時期が来たらすぐチケットを取っておかないと、売り切れになることも多い。
EX早特
車日の3日前までの予約で「のぞみ」普通車指定席・グリーン車が割引。長い区間を利用する人が対象となっており、東京ー新大阪間などは利用することができない。
たとえば東京・品川・新横浜から乗車する場合、行き先として選択できる駅は以下のとおり。
乗車駅 | 降車駅 |
---|---|
東京・品川・新横浜 | 岡山・福山・広島・徳山・新山口・小倉・博多 |
東京・品川から平日に乗車した場合、料金は以下のような割引料金となる。
目的地 | 通常の普通車指定席(大人) | EX早特 |
---|---|---|
岡山 | 17,660円 | 14,670円 |
福山 | 17,990円 | 15,180円 |
広島 | 19,440円 | 16,190円 |
徳山 | 20,750円 | 17,210円 |
新山口 | 21,640円 | 17,420円 |
小倉 | 22,730円 | 17,720円 |
博多 | 23,390円 | 17,720円 |
東京から博多まで17,000円台になると、だいぶ東海道山陽新幹線を通しで利用しやすくなる。土休日だと上記よりさらに数百円安い。
EXのぞみファミリー早特
乗車日の3日前までの予約で土休日の「のぞみ」普通車指定席・グリーン車が割引、このファミリー早特は2名以上での利用が前提。週末やお休みに複数人で移動しようかな、そんなとき使える。
EX早特21ほど取りにくいわけではないけど、この早特も席数限定なので早めに予約しておくほうが確実。
東京・品川から普通車指定席に乗車する場合の料金は、以下のように割り引かれる。
目的地 | 通常の普通車指定席(大人) | EXのぞみファミリー早特 |
---|---|---|
名古屋 | 11,300円 | 9,950円 |
京都 | 14,150円 | 12,020円 |
新大阪 | 14,720円 | 12,570円 |
新神戸 | 19,440円 | 12,830円 |
上の表には載せていないが、EXのぞみファミリー早特にはグリーン車の割引もある。家族でグリーン車を使うときにも、料金を抑えての移動が可能。
EXこだまファミリー早特
2名以上でこだまを利用するとき、乗車日の3日前までの予約で普通車指定席・グリーン車が割引になる。各列車席数限定。
東京・品川から普通車指定席に乗車する場合の料金は、以下のように割り引かれる。
目的地 | 通常の普通車指定席(大人) | EXこだまファミリー早特 |
---|---|---|
名古屋 | 11,300円 | 8,050円 |
京都 | 14,150円 | 9,980円 |
新大阪 | 14,720円 | 10,080円 |
東京ー名古屋間の片道がほぼ8,000円、東京ー新大阪間でほぼ10,000円となるため、移動時間をある程度まとめて取れるようならかなりお得。自分も年1回ほど、こだまファミリー早特を利用して読書しながら移動するときもある。のぞみよりまとまった時間を確保しやすいので、この時間にタスクを処理するビジネス用途にも結構使える。
各駅停車だと途中駅で飲食物を購入したりできるので、それはそれで面白かったりもするし。
ただ、こだまの停車時間は長くても数分程度だし、のぞみやひかりには当たり前のように(いまのところ)存在している車内販売が無いので、乗車する前に飲食物は最低限買い込んでおくほうがいい。そこだけは気をつけて。
こだまで1人旅なら「ぷらっとこだま」
なお、こだまを利用する場合はJR東海ツアーズの扱う「ぷらっとこだま」というサービスもある。
割引額は若干劣るものの、こちらは1名から利用できる。切符の他に飲み物のクーポン券も付いているので、ホーム等に設置されている引換店に寄ればただで飲み物が手に入る。写真のようなステッカーが目印ね。
上記のほか、エクスプレス予約(スマートEXも)はグリーン車を対象とするEXグリーン早特や、EXこだまグリーン早特など、グリーン車を使う人のための商品も利用できる。
エクスプレス予約の使い方
エクスプレス予約を新規に利用する場合、JR東海エクスプレス・カードの場合はJR東海のウェブサイトからの申込み、J-WESTカードならJR東海西日本のウェブサイトから、そしてそれ以外のプラスEX対象カードを使うとき(いま使っているクレジットカードにプラスで使うとき)は、各カード会社のウェブサイト等から申し込む。
JR東海のページ
JR西日本のページ
例えば三井住友カードなら以下のページから申込み可能
カード発行後、しばらくするとEX-ICカード(またはプラスEXカード)が郵送されてくる。
切符の予約はスマートフォンのアプリから、またはパソコンでウェブサイトからログインして列車や座席を指定するだけ。予約した列車の変更なども非常に簡単にできる。
券売機で購入する場合とたいした違いはないので、使い方で特に悩むところはないはず。予約した切符の領収証発行もウェブからできる。
なお、エクスプレス予約から取った東海道新幹線の切符は窓口で受け取ることなく(一部早特チケットや複数枚購入した場合を除く)、EX-ICカードまたはプラスEXカードを利用してそのまま改札を通過できる。SuicaやPASMOで在来線から乗り換えるときは、新幹線改札口で両方のカードを重ねてかざせばOK。
また、エクスプレス予約はモバイルSuicaアプリと連携させることで、モバイルSuica経由での予約も可能。この方法で取得すれば、在来線をスマートフォン内のモバイルSuica等で乗って、そのまま新幹線の改札口でもスマートフォンをかざすだけで乗り換えできる。ICカードを利用するよりも、スマートフォン1台あれば事足りるので、通常はこちらのほうが便利。
以上、東海道新幹線をお得に利用できるエクスプレス予約についてでした。関東圏と関西圏(さらに西)を年に一度でも往復する機会があれば、年会費を払ってでもエクスプレス予約を使えるようにしておくほうが、お得だし便利!
新幹線を利用するのにまだエクスプレス予約を使ったことがないという人は、ぜひ活用してみてほしいなと。アデュー。