デロンギ(DeLonghi)といえばオイルヒーターが有名。オイルヒーターは自然に部屋が暖まるのが身体に負担が少なく心地いいんだけど、ウチで2年前から使っているデロンギは、オイルヒーターとはちょっと方式が異なるマルチダイナミックヒーター(MDH)というタイプ。
マルチダイナミックヒーター:MDH12-BK
使っているのはMDH12-BKという、カタログ上では8-10畳用の機種。形はだいたいオイルヒーターと同じなんだけど、こちらのほうが平面かつ白と黒のシンプルなデザインで野暮ったさは少なめ。ウチは6畳2間を開け放して12畳で使うことも多いけど、冬でもこの8-10畳用でだいたい問題なく使えている(ここは家の構造や間取りによっても異なってくると思う)。
本体形状はシンプルだけど、最低限の工夫はなされている。使わないときはACアダプターを抜いて本体裏に収納できる。
また後で触れるように、取っ手やキャスターで移動させるのも楽。
ほとんど無音なので寝室に置いてもうるさくない
マルチダイナミックヒーターの特徴は、オイルヒーターとだいたい同じ。まず使っている間の動作音がほとんどしない。電源オフの状態から本体温度が上昇する間は時折「カンッ」と小さな音がするものの、上昇が完了すれば後はほぼ無音。
エアコンのように風が強く吹き出すこともないため、静かだし風の動きも気にならない。またストーブと異なり本体の表面温度もそこまで高温にならない(カタログ上では60度前後とのこと)。
部屋の空気が乾燥しにくい
寒い日にエアコンを使うと部屋の湿度がガンガン下がっていくけど、マルチダイナミックヒーターなら乾燥した風が吹き出すわけではないので、その心配がほとんどない。
また燃焼する構造でもないため、部屋の空気が汚れない。もちろん灯油を補充する必要もない。
これが、エアコンやストーブでは得られないとても大きな長所。乾燥せず空気も汚れず部屋が暖まるのは、春の暖かい日にタイムスリップしたようで身体への負担が少ない。
個人的には、インフルエンザとか冬に病気にかかって寝込んだときにコレにだいぶ助けられた。
部屋全体が暖まる
部屋が乾燥せず自然な感じで、部屋全体を暖めてくれるのもメリット。エアコンの送風だと部屋の暖かい部分とそうではない部分にむらができるし、ストーブだと部屋をガンガンに暖めるのでなければ近く以外は寒い。
これがマルチダイナミックヒーターなら、部屋全体が同じくらいの温度になるので(さすがに冬の日の窓辺は冷気を感じるけど)場所を問わず暖かさを感じることができる。部屋全体が暖かいというのは、部屋の壁や天井、床、物などの冷たさが全体として和らぐということ。
暖かい日がそうであるように、天井付近でも床付近でも、部屋のどこでもだいたい設定した温度の暖かさになる。
ただし、この辺は家の構造によってもだいぶ変わってくるはず。できるだけ密閉された部屋で使うほうがよいので、木造家屋で隙間風が入るような状況だとマルチダイナミックヒーターの長所を活かせない。
あと「床まで暖かくなる」って書くと床暖房を思い浮かべてしまうかもしれないけど、マルチダイナミックヒーター(とオイルヒーター)は、そういうのではない。小春日和のちょっと暖かな日に「ああ、床が暖かいなぁ」とは思わないよね。でも床が冷たいわけでもない、そういうこと。
マルチダイナミックヒーターならではの特徴
構造上の違いなどはほとんど詳しくないんだけど、オイルヒーターのようにオイルを温めるわけではないので、部屋の温度が上がるまでの時間は(オイルヒーターと比較すれば)短くて済む。またサイズ的にもコンパクトで重量も軽い。
軽いといっても10kg程度はあるので、持ち上げようとするとそれなりの重さ。ただし本体上部に取っ手が付いているので、持ち運びはそれほど苦に感じない。
キャスター付きなので、フローリングを移動させるだけなら楽にできる。
マルチダイナミックヒーターの短所
デロンギのマルチダイナミックヒーターの短所は、まず本体価格がそれなりにすること。少し前はオイルヒーターも結構高かったけど、いまはだいぶ安価なモデルも出ている。対して、マルチダイナミックヒーターだとそれより1つ上の価格帯になってしまう。
また、これはオイルヒーターも同様だけど、電気代もそれなりにかかる。この辺も建物の構造や間取りによって大きく変わるだろうけど、電気代は1ヶ月で数千円変わってくる。
それと、これもまたオイルヒーターの特性と共通なんだけど、マルチダイナミックヒーターも部屋を暖めるまでに時間を要する。
前述のように、エアコンやストーブと違って部屋全体、部屋に置いてある物や壁・床・天井すべてをじんわり暖めていくので、そのぶんどうしても時間がかかる。20~30分の間は暖まらないので、冷え切った身体で待っていると辛いのは確か。それでもオイルヒーターよりは速いんだけどね。
ということで、たとえば寒い日に外出先から帰宅したときなどは、この機器の短所を補うため先にエアコンでそれなりの温度まで一気に持っていき、そこからマルチダイナミックヒーターに切り替えて運用するといった工夫が必要。
あともう1点、購入からしばらくの間は、使用するとき本体から独特の臭いが出る。使うほどしだいに薄まるけど、最初は部屋の臭いが変わるので気になるかも。
設定温度にほぼ保つことができるのは快適
とまあ、マルチダイナミックヒーターには大きな長所があるものの、代わりにエアコンやストーブにはない短所もある。
短所については、繰り返しになってしまうけれど建物構造や使い方、使う人の冷え性の度合いなどによってもだいぶ変わるはず。そのぶん、使ったことのない人がネット等の感想を読むだけでは、実際どうなのかどうしてもイメージしにくいんだよね。自分の家で、部屋で、動かして体感しないと事足りるのか判断できない。
ともあれ、エアコンやストーブで作られた人工的な暖かさではなく、オイルヒーターやマルチダイナミックヒーターは「小春日和の自然な暖かさ」を部屋にもたらしてくれる。
確かに電気代は高い。でも寒い冬に暖かな地方へ交通費をかけて避難することを考えれば、月に数千円というコストは考えようによっては非常に安価ともいえる。
あとデロンギのマルチダイナミックヒーターはリモコンでいろいろ設定できるんだけど、設定した温度ほぼジャストのところに部屋の温度が維持されるのもいいところ。
ストーブだと暖まりすぎはよくあるし、エアコンも設定温度より低いか、逆に高いということもよく起こるので、マルチダイナミックヒーターなら正しく自分に快適な温度になるのは身体が楽。
他に電力を食う電化製品があると併用が難しいけど、暖まりすぎで頭がボーッとしたり足下が冷えたりという問題が起きにくくなるので、このマルチダイナミックヒーターは仕事場に導入するにのもおすすめ。そういう自分も、メインは仕事部屋で使ってる。
いろいろ工夫しつつ、冬の寒さをなんとか乗り切ろう。アデュー。